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チャイナ・トラベル
出遅れ物色で急反発、新規事業の好調も追い風
19日終値 2.60香港ドル 実績PER20.6倍
今月はじめにJPモルガンが目標株価を3.0香港ドルに引き上げたことをきっかけに、香港中旅(チャイナ・トラベル:308/HK)の株価が急騰している。中国消費・サービス関連の主力と目されながらも、同社株は10月まで人気の埒外に置かれていた。◆中間期に大幅減益を計上したこと、◆IR活動が一時的に停滞したこと、◆新たに手がけた2事業の動向が不透明だったこと――などがその理由と考えられる。しかし、新規事業のうち温泉リゾート開発が予想を上回る状況で推移していることが確認される中、11月からは割安感が見直されて反発基調に転換。中国旅行業界でM&Aの機運が高まっていることとあわせて、ここからの一段高に期待するスタンスが目立ち始めている。
チャイナ・トラベルの直近チャート
秋口までは悪材料が相次ぐ
チャイナ・トラベルは9月、今中間期の決算を発表し、純利益が前年同期比50%減の2億1074万香港ドルに落ち込んだことを明らかにした。市場予想を大きく下回る業績は、昨年開始したインターネット旅行サイトの「マンゴシティ」(Mangocity.com)と今年2月2日に開業した温泉リゾートの「珠海オーシャン・スプリング・リゾート(全871室のホテルを持つ総合温泉リゾートで、遊園地やプールなどを併設。以下、「珠海リゾート」と呼ぶ)の立ち上げ費用を9600万香港ドル計上したことが響いた格好だ。また、タイミングが悪いことに、それまでIRを担当していた役員が「マンゴシティ」立ち上げの指揮官に転出。IR活動が停滞する中で、情報不足が投資家のスタンスをさらに慎重にさせてしまったと言える。
「珠海リゾート」の足元好調
情報不足が株価の低迷につながったと述べたばかりだが、動向が不透明だった「珠海リゾート」は、ここに来て営業状況の堅調さが明らかになる。3月に早くも損益分岐点を超え、8月末までの半年間で100万人の来訪者を集めるなど、蓋を開けてみれば予想以上の好調ぶりだったのだ。
これを受けてJPモルガンは、同事業の営業利益が06年度に3000万香港ドル、07年に2億1000万香港ドル、08年には3億5000万香港ドルに達すると試算。冒頭で触れたように、株価の大幅上昇を見込んだ強気のレポートを発表したのである。
なお、BNPパリバとJPモルガンの売上予想が大きく異なるのは(上表)、リポートを発表した時期の違いと考えてよい。それぞれ9月8日、12月6日にリリースしたものなので、「珠海リゾート」の足元を反映したJPモルガン予想の方がより信頼性が高いと思われる。
さらに補足すれば、厳しい環境であったにもかかわらず、主力のホテル、旅行事業が総じて堅調さを保ったことは注目に値する。新規事業が改善するだけで、全体の収益が大きく押し上げられることとなろう。
M&Aも刺激材料
JPモルガンが強気スタンスを打ち出した理由には、前述した新規事業の好調に加え、旅行業界の再編期待もある。同社は今年上期、招商局国際(チャイナ・マーチャンツ:144/HK)の親会社から無償で傘下の旅行会社を譲り受けているが、その旅行会社は現在、「マンゴシティ」の中核部隊として活躍している。
今回のM&Aは、国策の流れに沿ったものと見てよい。大型の国営企業は、いまだに過去の遺産として旅行会社を傘下に保有しているところが多く、それが業界全体の過当競争につながっていた。旅行需要そのものが伸びているにもかかわらず、業界全体の平均粗利益率が低迷していたのも正にそれが要因だ。
中国政府は現在、国営企業に対しコアビジネスに集中するよう促し、非コアビジネスの分離を指導している。チャイナ・トラベルにとっては、有利にM&Aを進めるチャンスとなるわけだ。将来的には、複数のホテル、旅行会社の資産注入を受けることも有力視されている。
株価は依然割安か
バリュエーションの面でも、同業他社に比してチャイナ・トラベルの株価は割安に属するといってもよいだろう。中国の旅行関連銘柄は、香港、中国本土、米ナスダックに別れて上場している上、事業形態も相当異なるため、一律横並びに比べることは少なかったが、最近は合理的な比較をする動きが出ている。中国ビジネスホテル・チェーンのホームイン(北京ベースのビジネスホテル:Home
inn
HIMN)と錦江酒店(上海ベースのビジネスホテル:2006/HK)がナスダックと香港メインボードに相次いで上場したことがきっかけとなって、国際機関投資家が中国の旅行産業を相対評価し始めたからだ(下表)。
当面の懸念要因を挙げるならば、おそらく旅行サイト「マンゴシティ」の先行きということになろう。旅行業最大手のメリットを生かし、同サイトの契約ホテル数は4000件を超えた。すでに旅行サイト2位「E龍」(Elong)の3000件を追い抜き、業界トップ「Ctrip」の5400件に肉薄する水準――。しかしながら、アクセス数で判断する限りは、上位2社との格差は依然として大きい(下表)。
中国の旅行サイト市場が上位3社体制を維持できるほど大きいかどうかが現状で判別しかねる以上、「マンゴシティ」としては2位を狙うことが生き残りの目標となる。これを実現するためには、さらに相当な企業努力が必要なことは間違いなさそうだ。
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