2006/11/07
銘柄ピックアップ

マカオ不動産デベロッパーの保利達
 
NAV上昇期待で株価急伸
 
7日終値 2.65香港ドル 実績PER6.8倍
 
 マカオの不動産銘柄としては、運輸、不動産、カジノ事業を幅広く手がけるコングロマリットの信徳集団(シュンタック:242/HK)が有名だが、香港ブローカーのポジティブ評価をきっかけに、先月末から有力デベロッパーの保利達資産(ポリテック・アセット:208/HK)が動意づきはじめた。中小型株に対するアグレッシブなレーティングで有名な3Vキャピタルは10月31日、保利達の目標株価を3.34香港ドルに設定。同日の終値(2.35香港ドル)を42%上回る強気の目標に刺激され、株価は1週間で約13%上昇した(6日終値は2.65香港ドル)。3Vキャピタルが予想外の株価設定に踏み切った背景には、純資産価値(NAV)の急速な拡大観測がある。保利達の開発案件は主として、需要が高まる住宅物件の中でも特に大型のプロジェクトに集中。資産価値の上昇期待が最も大きいだけに、3Vキャピタルに続き、他のブローカーも高い評価を与える可能性が出てきた。
 
 
▼保利達の直近チャート

 開発用地を有利に取得
 
 
オーナーの柯為湘・主席は香港・マカオ不動産業界の重鎮で、保利達の親会社(九龍建業:304/HK)も柯氏が率いる上場デベロッパーだ。その親会社が今年4月、マカオ半島の珠海に面する黒沙湾新填海区のP地域、V地域、TおよびT1地域(Lote P、V、Ts)の権益80%を有利な条件で保利達に譲渡(総額84億4800万香港ドル)。時価評価の20%ディスカウント水準で権利を移転させた格好だ。
 
 現在手がけているプロジェクトとしては、マカオのタイパ島に開発中の案件がある。08年完成予定の同プロジェクトからは、2億香港ドル程度の利益が見込まれている。既に保有している投資物件としては、マカオ中心街の澳門広場(Macau Square)、華榕広場(Va long)がある。澳門広場に対しては58%を出資し、華榕広場は権益100%を保有している。07年からは毎年5000万香港ドルの賃貸料収入を見込む。

 不動産事業のほかは、香港最大の製氷業者を保有していることも収益に寄与する。規模は大きくないとはいえ、年間1200−1300万香港ドルの安定した売上が計上される。
 

 マカオ3地域
 
 同社の株価を左右するのは、前述したP、V、Ts地域の開発状況。それは特に、将来の地価上昇にかかっているといっても過言ではない。

 これら3地域は、住宅用不動産の床面積が930万平方フィート、商業賃貸用床面積が120万平方フィート、4600台を収容する駐車場を保有する一大プロジェクトだ。これにより、マカオの住宅用不動産分野では、保利達がトップ企業になった。

 取得費用、建築費用をあわせた開発コストは、1平方フィート当たり1700香港ドルだが、すでにかなりの利益が計上される見通し。06年下期に入りマカオ不動産価格は上昇基調に入っているため、近隣で最近販売された中国海外発展の La Citeなどは、販売単価が2500香港ドル/平方フィートに上昇している。こうした中、保利達の資産価値上昇を見込んだブローカー各社は、下表のような強気見通しに傾いてきたのだ。

 なお、投資判断を未付与としたDBS(※)も、現在の住宅不動産価格を2600香港ドル/平方フィートとしてNAV/株を2.51香港ドル/株に試算。向こう12カ月以内に住宅不動産が10%上昇(商業賃貸不動産は5%上昇)すると予想した上で、NAV/株が3.15香港ドルに引き上がると分析した。
 
(※)参考銘柄として10月9日に10ページのレポートをリリース。近く投資判断を付与すると考えられる。なお、DBSは同地域の不動産価格が5%上昇するごとに、同社のNAV/株が6.9%上振れると計算している。

 
懸念材料として挙げられるのは、中核プロジェクトの利益寄与がかなり先になること。Lote P、V、Tsが寄与し始めるのは早くとも08年以降、ピークは2010年となるため、その間に発生するリスクが読みきれないという不安がある。特に、人口が50万程度にすぎないマカオでは、住宅不動産市場の需給動向がなおさら不透明というわけだ。

 もっとも、◆マカオの経済発展を背景にした個人所得の増加、◆カジノ、ホテル業界の拡大に伴う海外プロ職の移住増加、◆中国からの投資移民の増加――などを想定すれば、当面はむしろ供給不足になるとの見方が多い。

 これまでマカオ銘柄と言えば、専らカジノ関連が注視されていたが、ここからは不動産銘柄のプレゼンスが高まりそうだ。


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