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香港ヘルス・チェック:
香港市場で唯一の医療検診会社
▼香港ヘルス・チェック:397/HKの直近チャート
終値 0.119香港ドル
健康診断サービスの変り種ニューフェイス登場――。香港で高度医療検診センターを運営する香港体検(香港ヘルス・チェック:397/HK)は、ガンや心臓病の検診を手がける臨床検査会社だ。最先端の断層撮影機材(シーメンス製のCTスキャナー、MRIなど)を備える同社は、高齢化社会が進む中、年々ニーズが高まる成人病の検診業務に特化。香港の病院、企業、保険会社などと提携を進め、域内で顧客の取り込みを加速させている。今後は中国本土の富裕層をターゲットに、検診ツアーのビジネスを進めていく計画だ。証券ブローカーのカバーがないため、業績予想をはじめとする客観情報の入手が難しいのがリスクだが、以下、IRのため先週日本を訪れた蔡加怡・執行董事(取締役)のプレゼンテーション要旨を簡単にまとめてみる。
医療グループ検診部門が「裏口上場」
同社の前身は、臨床検査会社ではなく星虹控股という名称の上場アパレル企業。医療サービス大手グループの康健国際(タウン・ヘルス:8138/HK)が昨年、経営不振の星虹控股を買収した上で、10月、現社名に変更した格好だ。弱った上場企業を買い取って自身の資産・業務を注入――。「裏口上場」と呼ばれる方式は、煩雑な手続きや審査の時間をかけず、手っ取り早く上場にこぎつきける(=上場企業の資格を買い取る)ことを可能にする。
親会社のタウン・ヘルスは、香港に80カ所以上の診療所(外来医療、歯科治療)をチェーン展開する大手医療グループ。香港ヘルス・チェックのほか、傘下に確思医薬(コア・ヘルスケア:8250/HK)という医薬品部門を擁している。

検診部門の香港ヘルス・チェックを上場企業として分離させた理由について、蔡執行董事は「域内最大手である同部門が、香港取引所で唯一の上場検診会社となるインパクトを考えた」と説明。上場のネームバリューを武器に、業務の拡大に弾みがつく効果にも期待した。
なお、グループの売り上げ構成は現在、主力の診療部門が全体の7割超に達しているが(新規事業の検診部門はほとんど計上されていない)、今後は香港ヘルス・チェックが大きく躍進。08年には検診部門が診療部門と同水準まで上昇し、それぞれ4割ずつを占めるようになるという。
過去の業績は比較対象外
前述したように、香港ヘルス・チェックは昨年「裏口上場」したばかりなので、過去(買い取った会社)の決算動向がまったく参考にならない。以下、同社と親会社タウン・ヘルスの業績を掲載しておくが、買い取った赤字会社の業務は、成長期待の高まる検診ビジネスが取って代わるため、グループの主力部門となるはずだ。
親会社の売上高は06年3月期(本決算)で2億3000万香港ドル超。蔡執行董事は今後2年以内に、香港ヘルス・チェックの売り上げ規模が同水準に達するとみている。
業績推移
香港ヘルス・チェック(397/HK)

タウン・ヘルス(8138/HK)

業務の現状
香港ヘルス・チェックは昨年12月末、1億4500万香港ドルを投じて一等商業地のネーザン通りに総床面積4180平方メートルの検診センターを開業。下は300香港ドルから上は5万7800香港ドルまでの各種検診パッケージを揃え、幅広い利用者のニーズに応える体制を整えた。



スタートしたばかりの現在、1日当たりの利用者数は40人程度だが、今後は200人まで引き上げる計画だ。
香港では健康保険制度が整備されていないため、原則として検診費用の全額を負担しなければならない。しかし、民間の保険で検診費用が適用の範囲内となるような商品もあり(同センター利用者の2割が加入)、同種の保険が普及するにつれて、個人が利用しやすくなる環境が整う。
なお、今後は個人の外来以外に、病院からの紹介や法人との契約(社員の検診)、保険会社からの委託(加入前の診断)などが収益の柱になっていくという。
競争力とリスク
現在1カ所の検診センターは今後、順次拠点数が増えていく段取り――。すでに同業、オーパス・メディカル社の買収が決定しているため、今年から4拠点が増加することになる。さらに、このほど中国の旅行会社と提携し、本土富裕層の取り込みを加速させる方針を打ち出した点も注目される。
それでは、目先、競争力が低下する懸念はないのか。現在は最大手としても、今後は新規参入による収益圧迫の恐れはないのか――。これについて経営側は、◆先端機器を備えるために巨額の設備投資を要する、◆顧客紹介の基盤(同社の場合は親会社のネットワーク)を築くことが容易でない、などの理由で当分は心配がないと強調している。特に前者に関しては、「民間で香港ヘルス・チェックほどの高額機器を揃えている企業はない」と断言するのだ。
香港の現状は、確かに同社優位の環境がしばらくは続きそうだ。買収したオーパスの売り上げだけでも5000万香港ドルに上っているので、今後数年間の収益規模は着実に拡大していくことが間違いない。経営陣が予想するように、2年以内に2億香港ドル程度の売り上げ規模を達成することも無理な話ではなさそうだ。
一方、業務拡大に向けた新収益源に位置づけられる中国人富裕層の取り込みに関しては、「彼らは本土の検診レベルに満足しない」と抽象的な答え。ただ、先端機材だけの問題であるなら、本土の主要都市でも同種のビジネスが乱立するような気がする。
いずれにせよ、繰り返すようだが、香港事業を中核とした持続的な収益増には期待してよい。利益予想が不明なので(香港証取の規則で、会社側が利益動向に言及することが禁じられている)、PERや株価の見通しが立たないことが残念だが、豪州の検診会社ソニック・ヘルスケアは、現地市場で53倍程度のPERで取引されているという。
実質的に誕生したばかりの同社に対しては、当然ながらカバーする証券ブローカーが皆無の状態なので、競争力の問題を含めて(業績予想など)詳細な分析情報を手に入れることが難しい。まさに、これが同社をはじめとする小型株の投資リスクといえよう。
香港ヘルス・チェックがグループの成長をけん引
康健国際(タウン・ヘルス)グループのなかで、「裏口上場」で新たに誕生した香港ヘルス・チェックが成長の原動力になるであろうことは疑いがない。今回のIRツアーで熱弁を振るった蔡執行董事は、親会社タウン・ヘルスの主席(経営トップの会長職)という肩書きを併せ持ちながら、専ら子会社の取締役として香港ヘルス・チェックの広報活動に努めていた。投資家に対しては、「安定成長を求めるなら、すでに収益基盤が確立されたタウン・ヘルスへの投資をお勧めしますが、急成長を期待するなら香港ヘルス・チェックに旨みがあります」と訴えている。
なお、写真の通り、蔡執行董事はまだ20代の若さ。グループ・オーナーの蔡志明氏(世界的玩具メーカーEarly Light Internationalの創始者)ご令嬢でもある同女史は、企業金融の修士号を取得している。「才色兼備」の誉れが高い女性経営者は、IR活動の広告塔的な存在になりつつある。

香港体検(香港ヘルス・チェック)の蔡加怡・執行董事
康健国際(タウン・ヘルス)の主席を兼任
ただ、話題性に頼ることなく、投資家に対し明確な成長モデルを提示することができるかどうかが重要なことは言うまでもない。売り上げ見通しのほか、利益率の動向、さらには設備投資に向けた増資計画の有無など、証券ブローカーのリポートをはじめとする客観的な分析情報が待たれるところだ。
*親会社タウン・ヘルスの日本語プレゼンテーション資料をリンクします。そのなかで、検診部門の香港ヘルス・チェックに言及していますのでご参照ください。
URL: http://www.ashuir.com/seminer/pdf/397.pdf
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