中国株ニュース

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中国株マーケットの概要・5

H株

 次に、H株について説明しましょう。簡単に言うならば、中国本土に登記された企業が香港市場で発行した株式。日本株にたとえれば、トヨタが米国市場に上場し(ADR形式)、現地の投資家に売買の場を提供しているようなイメージです。こちらは香港投資家の売買対象になるので、他の上場銘柄と同様に香港ドルで取引されるのは言うまでもありません。メインボードには、こうしたH株が160銘柄ほどあります。うち、H株指数を構成するのは40銘柄です。石油、化学、道路、電力、素材、運輸など中国を代表する重厚長大企業に加え、本土の銀行、保険があてはまります。


レッドチップ

H株と似たところでは、同じく本土絡みの銘柄であるレッドチップも重要。これを一言でまとめるならば、中国政府系の資本であるにもかかわらず、本社を香港に登記する形態の企業です。主要資産は中国本土にあり、現地でビジネスを展開しています。優良銘柄を意味する「ブルーチップ」をもじり、共産党を象徴する赤い銘柄(レッド)と呼ばれるようになりました。

資本構成に関する明確な定義はないものの、国営機関や省市部門など中国政府系の資本が35%以上を占める場合が多いようです。香港のほかは、税制上の都合でケイマン諸島、バミューダ諸島、バージン諸島などに登記される例もあります。

中国資本の企業が香港に上場している――という意味では、H株と実質的な違いはないのですが、一般に上場手続きの面でH株よりも簡便と考えられているようです。中国企業が本土登記のままで株式会社化→国内当局に対する域外上場申請→香港当局に対する上場申請、という段取りを経るよりは、一般の香港企業と同様の手続きだけで足りるレッドチップ形態の方がスムーズに話が進むというわけです。極端な話では、経営難の香港上場企業を買収して、国有企業の資産を注入するという「裏口上場」もみられました。

メインボードに上場するレッドチップは100銘柄ほどありますが、うち、レッドチップ指数を構成するのは25銘柄です。業種別ではコングロマリットや通信、IT、金融、サービス企業が多く、携帯電話キャリア2社のウェイトが全体の6割を占めます。


国有株

  「国家株」と「国有法人株」に2分されます。 国家株は国の投資部門や機関が、保有する国有資産を会社に注入する方式で形成された株式です。会社が保有する国有資産を株式に換算したものです。国有企業の「株式制改造」で、本来「全国民所有制」であった企業を株式会社(例:股フン有限公司)に改造する際、全国民所有制に属する会社資産は国家所有であり、その資産を株式化したものが国家株となります。国が新たに設立された会社に投資した場合、国が保有する株式は国家株となります。国家株は国務院により権限を委譲された部門や機関が保有しています。または、国務院の決定に基づき、地方の人民政府により権限を委譲された部門や機関が保有しています。

国家株資金の出所は主に3つです。
① 現有の国有企業が株式制改造を行った時に保有していた純資産
② 国を代表して投資を行う政府部門が、新たに設立された株式会社に対して行った投資
③ 国を代表して投資を行う「投資公司」、「資産経営公司」、経済的な実体性を有する「総公司」が、新たに設立された株式会社に対して行った投資。

一方、法人株とは、企業法人や法人資格を備えた事業単位と社会団体が、合法的に保有する資産を企業に投入することで形成される非流通株式(法人が有するA株、B株のような流通株は法人株の意味に含まれない)で、法人名を記入する記名式株式です。法人資格を有する国有企業、事業機関、その他が、合法的に占有する資産を独立した株式会社に出資した場合や、合法的手段で独立した株式会社の株式を保有した場合は、国有法人株となります。国有法人株も国有株とされます。

国有株の「放出」も注視する必要があります。上場企業のほとんどが国有企業で占められているという特徴があるのに加え、発行株式数の多くが国有株として国家の管理下に置かれている場合が多いためです。2004年の時点では、中国上場企業の発行済株式数は4,500億株に上り、うち国家株・国有法人株など非流通株は、全体の3分の2に当たる3,000億株を占めています。いまのところ、原則的に非流通で、市場売買されることがありませんが、今後は国家が資金不足の解消を目指し、保有株を処分する動きが出るかもしれません。上海証券取引所、深セン証券取引所は2005年1月、「上市公司非流通股股フン転譲業務弁理規則」(上場企業の非流通株譲渡についての手続き規則)を施行しました。政府は将来、市場に与えるインパクトが少ない方式を導入し、徐々に放出していくとの見方が有力です。

 


 A/H格差

中国本土の企業がA株とH株を同時に発行している場合、その価格差を算出したものです。両者の間にみられる価格の差を言います。A株の株価をH株で除した数値。A/H同時上場の銘柄のほとんどで、A株の株価がH株のそれを上回る状態が続いているのです。その理由は、A株の株価が閉鎖された本土市場という特殊な需給環境で高水準に決まるのに対し、H株のそれは国際マーケットの香港市場で合理的に決定されるためといわれています。現時点でA株の発行が認められている中国系の香港上場銘柄はH株のみです。そもそも本土登記の純然たる中国企業なので、H株が本土市場でA株を発行するのは問題ないことです。


A/B格差

中国本土の企業がA株とB株を同時に発行している場合、両者の間にみられる価格の差を言います。A株の株価をB株で除した数値。流動性の高さから、一般にA株がB株を上回る傾向があります。将来的にはA株とB株が統合されるとの見方がでています。◆金融の自由化・国際化に伴って、変則的な市場形態を認めるべきでないとの意見が強まっていること、◆出来高の縮小を受けて、B株市場の存在意義が薄まっていること――などがその要因です。

 


 QFII

適格海外機関投資家(QFII、Qualified Foreign Institutional Investors)の略で、人民元建て商品の部分開放を目的に導入されました。当局の厳格な資格審査を経る必要がありますが、QFII資格を取得した海外の法人は、一定条件の下でA株などの購入が可能となります。売買できるのはA株のほか国債、転換社債、社債、その他の金融商品です。

【QFII申請手続き】
「合格境外機構投資者境内証券投資管理暫行弁法」によれば、QFII申請の手続きは以下の通り。
① 中国証券監督管理委員会(CRSC)にQFII資格を申請
② 国家外匯管理局にQFIIの投資限度額を申請
③ 中国登記結算公司に証券口座の開設を申請
3つの手順を踏む必要があります。

小QFIIとは……

香港域内の人民元を本土に還流させる目的で、本土系の現地金融機関にA株ファンドなどの組成を認める制度です。現行のQFII制度が海外機関投 資家を対象としているのに対し(海外機関投資家が保有する米ドルやユーロ、日本円を人民元に交換させてA株市場へ誘導)、小QFIIは香港域内の 本土法人を認可対象にしている点で異なります。年内の解禁が見込まれています。

 


QDII

QFIIの逆の流れとして、中国本土の資金を海外(香港)に流出させる動きである適格国内機関投資家(QDII)制度に言及しておく必要があります。04年に導入を決定し、06年から順次開始されたQDIIは、原則禁止されている海外有価証券(主として香港上場株)の売買を中国の機関投資家に解禁するというもの。一定条件を満たした国内の保険会社、銀行、投信会社に対し、各社に付与した枠を上限に香港上場株への投資が認められています。これまでのところ総額で約2兆円の枠が与えられていますが、07年から規制緩和の動きが加速しはじめました。同年の夏場以降は新たに個人向け投信の設定・販売が認められるなど、資金の規模も膨らむ傾向にあります。
ところで、QDII枠が与えられた中国の機関投資家は、どのような銘柄を購入するのでしょうか。当初の対象が香港上場株に絞られる以上、「勝手知ったる中国企業」ということもあって、ほとんどがH株、レッドチップなどに向かうとみられます。したがって、QDIIの規制緩和が進むことは、取りも直さず香港マーケットの需給を改善させる要因といえます。