2007/12/19
マイちゃんのテーマ別ポートフォリオ
 
 
中小淘汰による寡占メリット(3):玖龍紙業

 
 亜州IRリポーターの佐々木マイです。このコーナーでは、日刊ゲンダイ株式欄(火曜日)に連載中の「佐々木マイ、株りつきCHINA!」で取り上げた内容をご紹介しています。07年の企画は「テーマ別ポートフォリオ」です。市場で話題のテーマを月ごとに決め、1銘柄ずつを組み入れていきます。


 
▽玖龍紙業(ナインドラゴンズ・ペーパー:2689/HK)の直近チャート
 
終値 18.98香港ドル 実績PER 38.58倍 
 
 

 政府主導による中小業者の淘汰が進む業界を見渡した場合、寡占メリットの最大受益者は段ボール原紙の大手メーカーではないでしょうか。中国国内の同市場はそもそも、他の業種と異なり、一貫して供給過剰ではなく需給ひっ迫の状態が続いていたからです。

 環境、省エネ問題の解決が政府の緊急課題である以上、基準をクリアすることができない弱小メーカーの淘汰が今後さらに加速することは、今月の本コーナーでご紹介してきた石炭、セメント業界と同様――。ただ、同業界に関しては、需要が供給を上回る状態の下で中小業者の整理が進むため、大手メーカーの優位性がますます強まることになるのです。

 香港に上場するメーカーの中では、中国最大手の玖龍紙業(ナインドラゴンズ・ペーパー:2689/HK)が圧倒的な強さを誇ります。年産能力が450万トンに達し、昨年度の市場シェアは15%に上昇。2位の理文造紙(リー&マン・ペーパー)が8%程度なので、業界内のプレゼンス(存在感)が極めて高いことが分かります。業績も好調です。07年6月期の本決算では売上高が前年同期比24%増の98億人民元、純利益が46%の20億人民元に膨らみました。

 当然ながら、寡占メリットで生産能力は持続的に拡大します。09年末までには1015万トンに引き上げられ、世界最大のメーカーに躍進することとなりそうです。
 
 
従業員ストの影響
 
 業績の先行き見通しが明るい一方で、人材会社が斡旋した工場労働者による争議が発生してしまいました。広東省・東莞市麻涌鎮の工場で13日、非正規雇用の600人弱がストを決行。新労働法の08年1月1日施行を控えて会社側が提示した新たな労働契約に対し、「著しく不利な条件のため受け入れられない」と不満の意を表明したのです。

 新契約の内容は、現在の賃金水準を保障する代わりに、これまでの勤続年数がすべて無効とするもの。「福利厚生面の待遇が後退し、長期アルバイトと変わらなくなる」と主張する労働者側は、好待遇を求めて集団で作業をボイコットした格好です。

 これを受けて14日の株価は、一時8.8%安の18.52香港ドルに急落。譲歩を迫られた会社側は、(条件が不利になる)人材会社を介さずに直接労働契約を結ぶことを確約した上で、それでも退職を望む従業員に対しては、勤続1年につき1カ月分の補償金を支払う方針を打ち出しました。

 これによりストがひとまず収束したのですが、まだ完全に火種が消えたわけではなさそうです。
 
 
 

 
業界トップの強み
 
 今回の争議は、将来的な人件費コストの上昇を示唆するものです。利益が大きく圧迫されるほどではないにせよ、会社側に管理システムのさらなる効率化を迫るきっかけとなりえます。

 ただ、こうした労働問題は同社に限った悩みではありません。ライバル他社の間では、もっと深刻化している可能性があります。

 業界全体が直面する問題である以上、やはり、経営規模が最も大きい同社に相対的な優位性があえるのではないでしょうか。逆に中小メーカーは、一段の苦戦を強いられることになるはずです。

 今回のストや世界的な株安の影響で足元は大きく値を下げてしまいましたが、全体相場の反発局面では、「中小淘汰による寡占メリット」というテーマが再びクローズアップされると確信します。
 
 
 
 

編集・発行 亜州IR株式会社 〒103-0013 東京都中央区日本橋人形町1-3-6共同ビル623 電話03-5643-1667 FAX 03-5643-0692 ウェブサイト WWW.ASHUIR.COM
☆版権所有 無断転送・転載を禁じます。

本紙掲載記事は投資の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を意図するものではありません。投資の決定はご自身の判断と責任でなされますようお願い致します。記載された意見や予測等は作成時点のものであり、正確性、完全性を保証するものではなく、今後予告なく変更されることがあります。

【題号の由来】題号の「招財」は、中華圏で蓄財、繁栄をもたらすとして使われている縁起文字「招財進宝」から取ったものです。この文字はメルマガ冒頭にも使われています。