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2007/07/25
マイちゃんのテーマ別ポートフォリオ 業態大転換
(4):彩虹電子
亜州IRリポーターの佐々木マイです。このコーナーでは、日刊ゲンダイ株式欄(火曜日)に連載中の「佐々木マイ、株りつきCHINA!」で取り上げた内容をご紹介しています。07年の企画は「テーマ別ポートフォリオ」です。市場で話題のテーマを月ごとに決め、1銘柄ずつを組み入れていきます。
………………………………………………………………………………………………………… ▽彩虹集団(438/HK)の直近チャート
終値 1.06香港ドル 実績PER 15.89倍
![]() 斜陽のカラーブラウン管最大手が液晶ガラス基板メーカーに劇的な転進を図る。陝西省西安を拠点とする国有大型企業の彩虹電子は、これまでブラウン管の生産に特化していましたが、薄型テレビが主流になる中で、主力事業のウェイトを引き下げはじめています。 ダイナミックな転進に向けた主要プロジェクトは大きく2つ。まず、カラーテレビ大手の四川長虹と合弁で、プラズマ・ディスプレイ(PDP)の試験生産を開始したことが挙げられます(08年からの量産化を見込む)。出資比率は20%ながら、新規事業への第一歩は大きな意味を持ちます。 また、本命の液晶ガラス基板生産も着実に進展中。07年末には第1期ラインが完成し、08年度からの収益寄与を目指します。こちらは自前で進めるプロジェクトのため、数十億人民元規模の設備投資資金が必要になりますが(第1期は7億人民元)、すでに国家開発銀行から30億人民元の融資枠を取り付けました。 ところで、転換途上にある同社に対しては、既存事業の黒字計上というポジティブなサプライズも浮上。日米欧の大手メーカーが相次いでブラウン管生産から撤退したため、昨年は皮肉にも受注が急増したのです。06年度の予期せぬ黒転を追い風に、資金繰り安定の下で業態転換を加速させたい考えです。 ![]() * 同社は先週、IRのため日本に経営幹部2名を派遣しました。本メルマガで告知したように、20日には読者様をお招きした個人投資家向けセミナーも開催しています。その様子については、以下のIR報告をご覧下さい。 ![]() 同社の経営陣(右:李CFO、左:曽高級顧問)
【IRセミナー報告】 カラーブラウン管メーカー中国最大手の彩虹集団(438/HK)は20日、東京で個人投資家(本メルマガ読者)向けのIRセミナーを開催した。李世坤・最高財務責任者(CFO)と曽明・上級顧問が出席。斜陽の現行事業を縮小し、高付加価値の液晶ガラス基板、PDP生産へ切り替えていく事業転換計画を説明した。会場では、日本語の資料も配布されたが、( http://www.ashuir.com/seminar/r/0707_438.pdf )以下、そのポイントを簡単にまとめてみる。 国策に沿って業態転換 陜西省・西安近郊の咸陽を拠点とする彩虹集団は、中国国務院(国家資産委員会)直属の大型国有企業。政府主導の下でカラーブラウン管とその付属部品を生産してきたが、他の先進諸国と同様に中国でも薄型テレビの需要が高まっているため、既存事業の先細りは避けられない状態となっている。 こうした中で進められているのが、前述した液晶ガラス基板、PDP事業へのダイナミックな転換だ。特に液晶ガラス基板事業は、市場全体で製品の供給が追いつかない状況が続いているため、後発ながらも来年以降に利益貢献が見込まれるという。 もちろん、これも国策に沿った業務シフト計画。液晶ガラス基板を製造するのは中国企業として初の試みとなるだけに、政府は同プロジェクトが円滑に進むよう、優先的に認可を与えたり、融資の便宜を図ったりする意向だ。 4つの新規事業 同社が掲げる新規事業は、液晶ガラス基板とPDP事業を含めて4分野ある。 (1)PDP事業 「四川世紀双虹顕示器件有限公司」(国内テレビ大手の四川長虹電子との合弁)に20%出資。年産216万枚のPDPモジュールラインを建設し、08年から量産。
(2)液晶ガラス基板事業(後述) (3)省エネ発光体事業 三原色発光体の販売量は06年に410トン。今後はPDP用、液晶ディスプレー用、冷陰極蛍光ランプ(CCFL)用の蛍光体などを開発。
(4)高精密金属部品事業 地元陜西省の自動車会社などに納入。航空機、自動車、家電などの分野で販路拡大。
このうち、最も期待がかかる液晶ガラス基板事業は、パソコンや液晶テレビなどに広く利用される液晶パネルの重要材料を製造するビジネス。現時点では米コーニング、旭硝子、日本電気硝子、日本板硝子、独ショットなどの海外大手が市場を席巻しているが、同社はその間隙を突いて国内メーカーに納入する。 海外各社の最先端製品はすでに8―9世代まで来ている一方、同社が生産するのは5―6世代とローエンド。京東方科技(BOE)や上海広電電子(SVA)など、ローエンド・パネルの国内メーカーが主要顧客となる。 中国ではこれまで、液晶ガラス基板の全量を輸入に依存していたため、中国企業が生産に乗り出すのは彩虹集団が始めてだ。 咸陽市秦都区に建設した工場は、初期の投資額が6億9000万人民元。第1期は今年1月に既に着工済みで、来年6月末までに量産化ラインを整備する。年産能力(当初は第5世代)は 75万平方メートル。年間の売上高を3億4000万人民元、利益を1億2000万人民元に見込む。 第1期が軌道に乗った段階で、生産拡張に向けた第2期のプロジェクトに乗り出す(投資額は10億人民元)。生産ライン2本を増設し、需要動向を見ながら18億人民元を追加投資し、さらにラインを増やして3本とする。第2期の売上高と利益は、第1期の3倍以上に引き上げられるという。 ここで問題なのは、後発の彩虹集団が液晶ガラス基板事業でシェアを拡大することができるかどうか――。 これについて、同社の李CFOは「世界的に供給不足の状態が続いているため、当面は供給が需要に追いつくことはない」と分析。その上で、エネルギー、原材料、人件費のコスト競争力により、競合他社を20%下回る価格で生産することが可能と自信を示した。また、「割れやすいガラスを輸入するためには輸送費が割高となるが、国内生産で輸送費の低減が見込まれることも強み」と補足している。 国家による財政支援や税制優遇策もプラス材料。液晶ガラス基板事業は国家発展委員会の重点プロジェクトに位置付けられており、国有企業である同社は政策的支援を十分に受けることが可能だ。同社は既に中国国家開発銀行から 30億人民元の融資枠を獲得している。 生産の開始後は、前述したように京東方科技(BOE 、北京)、上海広電集団(SVA、上海)、龍騰光電(江蘇省昆山)など既存の液晶パネルメーカーへの供給を行う。これら 3社が華東地区で工場増設を計画しているのに加え、深セン聚龍、深セン富士康(フォックスコン)、南京フィリップスなどが計画している液晶パネル工場からの受注も見込まれる。 彩虹集団がやや遅れた規格の第5世代技術で生産するのは、繰り返しになるが、これらの国内メーカーが第 5世代の液晶パネルを生産しているためだ。 ![]() 事業別の粗利益率を見ると、カラーブラウン管の13%、PDPの15%、省エネ発光体の30 %などに比べ、液晶ガラス基板は60%と高水準。液晶ガラス基板事業にかける期待は大きく、これが新規事業、ひいては同社全体の業績をけん引すると期待している。 新規4事業の利益伸び率は、08年に前年比で50%、09年は100%に達する公算。利益全体に占める割合は、08年が60%、09年が80%に上るという。 既存事業が頭打ちのため、07年の業績に関しては大きな伸びが期待できないものの、液晶ガラス基板を核とした新規事業の進ちょく次第では、「業績復活銘柄」として中期的に株式市場の注目を集める可能性があろう。 なお、カラーブラウン管の生産はすぐに停止するわけではない。農村部を中心に依然として需要が根強いため、(先細りは避けられないが)しばらくは継続する方針だ。昨年に関して言えば、海外メーカーの相次ぐ撤退によって、競合不在の下で業績が好転するという現象が発生した(06年の決算は黒字転換)。資金繰りが少しでも安定すれば、新規事業へのシフトがより円滑に進むこととなろう。 ![]() 編集・発行 亜州IR株式会社 〒103-0013 東京都中央区日本橋人形町1-3-6共同ビル623 電話03-5643-1667 FAX 03-5643-0692 ウェブサイト WWW.ASHUIR.COM ☆版権所有 無断転送・転載を禁じます。
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