マイちゃんのテーマ別ポートフォリオ
業態大転換:(1)中国鉄路貨運(旧宝訊科技)
亜州IRリポーターの佐々木マイです。このコーナーでは、日刊ゲンダイ株式欄(火曜日)に連載中の「佐々木マイ、株りつきCHINA!」で取り上げた内容をご紹介しています。07年の企画は「テーマ別ポートフォリオ」です。市場で話題のテーマを月ごとに決め、1銘柄ずつを組み入れていきます。
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▽中国鉄路貨運(旧宝訊科技:
8089/HK)の直近チャート
終値 16.30香港ドル
今月のテーマは「業態大転換」です。文字通り中核事業がガラリと入れ替わることを意味し、多くの場合は裏口上場(経営難の上場企業を新規の事業主体が買収し、自己の事業資産を注入すること)と呼ばれる手法が用いられます。表面上は単なる商売替えですが、株主や経営陣も入れ替わるため、実質上は新たな上場企業が誕生することと同じです。つまり、買収を通じて新規の事業主体が手っ取り早く上場企業の地位をゲットしたということ――。上場企業であれば、事業規模を拡大する際の資金調達が容易に実施できるわけです。そんなコンプトセプトの下、初回は先週末に日本でIRセミナーを実施した中国鉄路貨運(チャイナ・レールウェイ・ロジスティックス)をご紹介します。
宝訊科技(プロアクティブ・テック)という名前でIT製品の販売を手がけていた同社は、先日の臨時株主総会で鉄道貨物輸送への事業転換計画を正式決定。あわせて、新社名への変更を承認しました。
同社は今後、中国鉄道部(鉄道省)と合弁で設立した物流子会社(実質出資比率49%)を通じ、輸送能力の不足が深刻化する発電燃料用の石炭を各地に運搬します。この合弁子会社は、貨物車両の購入・管理を担当するファンド会社に近い形態。直接的な運輸オペレーターではありませんが(現場の業務は引き続き鉄道部が担当)、今話題の鉄道関連銘柄に生まれ変わることで、短期的に市場の注目を集めそうです(ただし、足元の株価は投機的な値動きをしているので要注意)。
以下、IRセミナーで経営陣が語った内容を簡単にまとめてみます。
鉄道輸送能力の不足を補う
新規事業の将来を占う上で、まず理解しておかなければならないのは、中国本土で鉄道貨物輸送の能力が大きく不足しているという点です。同貨物輸送で最大のウェイトを占めるのは石炭ですが(全体の4割)、産炭地から主要ユーザーの火力発電所までの運輸インフラが整っていないため、年間15億トンの輸送需要に対し能力はわずか8000万トンにとどまる状態。これに追い討ちをかけるように、老朽化した貨車が07年に7万両、08年と09年の2年間で13万5000両それぞれ引退するというのです。
こうした状況の下、鉄道部に代わって同社(合弁子会社)が貨車の購入・管理を手がける意義は非常に大きいといえます。計画によると、まず30本(55両編成のため1650両)を購入。08年第3四半期をめどに、300本(1万6500両)の投入を完了させたい考えです。
すべての車両をそろえるには、9億米ドル(66億人民元)の資金が必要となる計算。うち2億7000万米ドル部分を自己資金で賄い、5億米ドル部分を借り入れで調達し、残りは今後の事業によって得られるキャッシュフローで充当するとのことです。
鉄道部が同社に要請しているのは、まさに一連の資金調達を中心とする金融マネジメントの分野だと思われます。
セミナーの様子 許達利副会長
売上高100億人民元に
同社によると、300本の運輸体制が整った段階で、新事業の売上高は100億人民元に達する予定(純利益は18〜20億人民元)。その後も鉄道輸送の需要は持続的に拡大すると見込まれることから(発電用石炭の需要だけでも10%ペースで成長)、業績が先細る可能性が極めて少ないというのです。
運賃市況に関しても、今後は上昇することがあっても下落することはないと強気です。物価局が決定する石炭1トンあたりの運賃は、昨年の0.905人民元/キロメートルから今年は0.950人民元/キロメートルに上昇。同社の許達利副会長(写真)は「これでも低く抑えられている」としたうえで、将来、自由化された場合はさらに上昇が加速すると予想しました。
ここで、同社の強みと弱みを改めて考えてみましょう。収益環境など、ファンダメンタルズが極めて良好なのは前述した通りです。加えて、許認可事業の性格上(ライセンス期間50年)、同じ営業エリアでは競合が発生しないというのも安心材料。鉄道部に代わり、部分的に公共事業を遂行するという「政策銘柄」としての旨味があります。
一方、やや物足りないのは、実際の業務はこれまで通り鉄道部が行うということ。悪く言えば、同社が単に資金調達のツールとして機能していると思われる可能性もあります。鉄道銘柄ながら、この点が広深鉄路(525/HK)などと決定的に違う点です。
また、香港資本の民間企業である限り、常に政府当局との太いパイプを保っておく必要がある点にも留意すべきでしょう。
当然のことながら、(裏口上場のため)以前の業績や財務データは今後の動向を分析するうえで何ら参考になりませんが、参考までに過去の業績表を掲載しておきます。
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